PIN chair


【プロフィール】

池内 宏行
(イケウチ ヒロユキ)
ファニチャーデザイナー








 
大きなこだわり】

“従来とは異なる構造を構築した木製椅子”をコンセプトとして製作しました。

木製椅子は前脚や後脚、座枠や貫など様々な役割を持ったパーツで形成されています。
また、成型合板で座面と背面を一体成型したものや、座枠に後脚を伸ばし背板をつけたものが大半です。

これらの構成要素を一度全て分解し、構造の組立・解体を繰り返し行うことで、最終的に座面下に全てを接合できる構造材を持ってくるかたちに至りました。

PIN chairの構造は、座面下にある接合材に背板と脚を固定する仕組みですが、接合部材が見えないため、座面・背板・脚に軽快な表情が生まれます。
また、各パーツを接合材にボルト接合するノックダウン形式でフラットパッキングを可能とし、運搬のコスト低減も考慮しました。

座面と背面、前脚と後脚は同じ型で成形しており、型を少し大きく作れば、個々に合わせたサイズでの製作を可能です。



【小さなこだわり】

普段は見えない箇所、余り気に留めない箇所の接合材機構にこだわりました。

接合材は座面下にあるとはいえ、あまりに大きく複雑にすると、普段使用している時に見えてしまう可能性があります。
そこでまず端面に脚をつけるmodel.1を製作・検討しました。
脚と接合材をしっかりとボルト接合しましたが、ボルトへの負担が大きいのと、木の柔らかさで接合面に隙間ができる問題がありました。

次に前後にも面があるmodel.2を製作・検討しました。
接合面を含む3面が接合箇所周辺を包むようになり、model.1より脚が安定しました。
ですが、木は湿気や乾燥で膨らんだり痩せたりしてしまうので、精度をあげて製作しても、使用環境によって隙間が生じるという問題がありました。

最後に前か後ろに面があるmodel.3を製作・検討しました。
前脚には前に面があり、後脚は後ろに面があります。
これによって座った時の荷重による脚の広がりを軽減することができました。

PIN chairは「座面下」「接合の方法」という細部から組み上がってきたプロトタイプです。



【主催者よりコメント】
coming soon ...