Monte San Salvatoreのレストラン


【プロフィール】

新森 雄大
(ニイモリ ユウダイ)
建築家







   
【大きなこだわり】

私は常に素材同士の物質的相性とそれら素材が持つ色彩を意識しています。素材に対し常に忠実でいること、またその忠実さが齎らす空間への影響を信じています。
        
スイス南部「Monte San Salvatore」山頂におけるレストランと舞台の計画案
この建築は、Lago di Luganoを望む南向きの眺めを持つレストランと、講堂としての機能も持つ舞台の、主に二つの建築から構成される。それは二つの異なる状況を内包しながらも、一つの建築として成立する事によって、敷地に対し、二項対立的なある種の豊かさを持つ。レストランは、既存の状況、美しい眺めに対して外向的な特性を持つが、その一方で、小規模な庭を含む舞台は、コンサートや劇のための親密で内向的な特性を持つ。
北側には、辺り一帯広がる森の一部と化すバーを計画した。そのバーは、レストランと直接トンネル状の細い通路で繋がっており、バーからトンネルを抜けてレストランに入った瞬間、そのスケールの対比で一層際立った、美しいビューが開ける。講演などが行われる際、バーはホワイエとしても機能し、一定の可変性も持つ。開演までの待ち時間、ゲスト達は、この森の中のバーで、ゆったりとした時間を過ごす。

このプロジェクトは、Monte San Salvatore山頂での特別な体験を、その一部となる事で達成しようという試みである。



【小さなこだわり】

屋根を強調させるために、桁に対し柱を20mm奥まった位置に設けました。そうすることで、桁と柱が同面で納まっている場合に比べ、無意識的に客の視点は奥、すなわち舞台へと運ばれ、柱はただの舞台の袖幕と化します。また笠木を浮かせたディテールにすることで、建物最上部に一本溝が入り、屋根と躯体との縁が切れます。屋根は屋根らしく、躯体は躯体らしく、それぞれを独立した機能を持つ物体として存在させるための形態の操作です。こうした形態の操作はスケールこそ違うものの、分野問わず全ての造形芸術に当てはまる行為だと思います。私はこのような細かな操作の積み重ねで、建築を築き上げていくことが好きです。



【主催者からのコメント】
coming soon ...