SAKURA craft_lab 002

 【プロフィール】
松田 優
(マツダ ユウ)
プロダクトデザイナー










 
【大きなこだわり】

情報デバイスや電子データの広がりにより「手でペンを握り、紙にかく」機会は減少しており、今後もこの流れは続いていくはずです。しかし「かく」機会が減っているからといってその行為自体も軽くなっているわけではなく、むしろ重要な書類に記すことであったり、心を込めて手紙をかくことであったり、「かく」ことの個別の重大性は増しています。
一方で、サクラクレパス社はクーピー・クレパス・ボールサイン・ピグマをはじめとする画材のフィールドで多くの日本人の「かくことの原体験」を提供してきました。幼少の頃は頻繁に触れるサクラ製品ですが、大人になるにつれ接点が減少し離れてしまう状況がありました。 そこで、画材を通し「かく」ことの原体験を作ってきたサクラクレパスだからこそ作るべき「大人向けの筆記具」が必要だと考えました。幼い頃に知った「かく」ことの記憶と魅力を大人向けの文具にも途切れなく繋げることを目的に、誰もが一度は使った想い出のあるサクラクレパスの画材が有している「かくことのポジティブな想い出」を無形の資源と捉え、いかにして大人向けの商品に展開していくかをテーマとしました。
そして、クーピーのようなミニマルなシルエットと豊富なカラーを揃えた[SAKURA craft_lab 002]が生まれました。

CL:株式会社サクラクレパス
BDCIA Inc
PDYU MATSUDA DESIGN




【小さなこだわり】

サクラクレパス社の“クーピー”は、私自身も幼い頃によく使用していた思い出深い画材です。小学生の低学年時分、クレヨンから卒業し、真新しい“例の缶ケース”をあけた瞬間目に飛び込む、スラッと整列したカラフルなクーピーの迫力にときめいたのは私だけではないはずです。そんな個人的な思い入れも含まれた、既に多くの人に知られているプロダクトの“大人版”をデザインするのであれば、ただシルエットを模しただけの表面的な継承は許されないと思いました。
そこで、ありふれた表面処理による着色ではなく、軸の素材にサンドブラストを施した半透明のカラーアクリルを使用し、そこから透けて見える内部部品にもメタリック塗装を施すことで、二重構造ならではの深い色味とテクスチャを実現しています。外部を覆う半透明のアクリルを通して見える「透過色」と、内部のメタリック塗装からはね返る「反射色」が重なり合って表れる、鈍く深い光沢は、色と光の関係を示唆するものです。
また、これを実現する際、機構上、軸から透けて見える内部の部品には固定のための段差が必要でしたが、部品自体をテーパー形状とし段差の代わりとすることで、クーピーのようなミニマルな意匠を徹底しています。



【主催者からのコメント】
coming soon ...