湯たんぽ

 【プロフィール】
南 政宏
(ミナミ マサヒロ)
デザイナー







 
【大きなこだわり】

布団の中へ入れて使用する湯たんぽですが、多くの湯たんぽは、蓋の部分が突起として外に出ています。このデザインで実現したかったのは、その出っ張りをなくし、人が触れる形状としてもっともあってほしかった形態です。湯たんぽは、人の肌が常に触れるものです。布団の中にあって、違和感がなるべく少なくなるように薄型で、凹凸の無い形を目指しました。これは簡単なようで非常に難しかったです。型が外れないからです。
多くの樹脂と、金属製の湯たんぽは楕円形をしており、水の温度が下がった際の減圧に耐えるために、表面に凹凸がありますが、その凹凸すらも無くしスムーズなデザインにしたかったのです。真円形状で、薄型の湯たんぽは、コンパクトで、シンプルで使いやすく、今までにないデザインとなりました。布団の中に入れるのがもったいない。そんな美しいものになりました。
しかし、そのこだわりによって犠牲にしたことがあります。それは、お湯を入れる際に、お湯を注ぎすぎると蓋の周りにお湯が溢れてしまうことです。このくぼみに溜まったお湯を捨てるがちょっと難儀でもあります。ですので、入れすぎないように絶妙にお湯を入れてください。



【小さなこだ
わり】
密かにこだわったのは、 金属製の蓋と、裏面の形状。そしてカバーです。

蓋ですが、最初は本体と同じ磁器で作りました。しかし開け閉めの度にキィと嫌な音がします。毎日使うものだからこの音はダメだなと思いました。それで金属で作りましたが、水温低下の減圧によって本体が割れてしまうことがあり、水は出さずに空気だけを抜く必要がありました。それで蓋の頂点に微細な穴を空けて、裏のシリコンにも空気の通り道を設けて減圧時に空気が入る道を設けています。

また、裏面の高台にもこだわりました。高台は陶器製品なら裏に必ずある釉薬のかかっていない部分です。最初は裏面までつるんとしたくて、高台なしで作ったのですが、高台がないと焼成で大きく変形してしまいました。高台があることで安定して焼けるのです。そしてお湯を捨てる際に指の引っ掛かりになるように女性の小さい手でも指がかかりやすい形に溝を一周掘りました。湯たんぽを使う人には冷え性の女性が多いだろうと、実際に女性がどのように持ってお湯を捨てるかリサーチもして形に反映しました。

カバーは文字数が足りないので短縮しますが、ジャンバーの裏などに使う静電気を起こさない機能性素材です。



【主催者からのコメント】
coming soon ...